さいくりブログ

デザインについて vol.1

当院の診察券を見て、驚いた方は多いのではないでしょうか?

このデザインを含め、西條クリニックのロゴから問診表までデザインしていただいているのは、デザイナーの井出 武尊(いで たける)さんです。

今回は井出さんにインタビューしてみました。

1)最初の発想

西條先生からtwitterで、デザインの協力をご依頼されたときに、真っ先思い浮かんだキーワードは「病院らしくない病院」というものでした。
その時点では、西條クリニックがどのようなものになるのか、まだ何も聞いてはいませんでしたが、治療の場というよりも、むしろ日常に近い場で、訪れた人が能動的に、自分と世界の関係を改めて見つめ直すための場所を作ろうとしているのだと、そう考えました。正確にいえば、考えたというよりも、大学在学中におっしゃっていたことを思い出しているだけです。
それならば、ここで使われる診察券や封筒など、あらゆるものを病院らしくないものにしていこう。それが、今回のデザインの入り口でした。

…なるほど、そういう大きなところから考えるものなのですね。井出さんは大学時代から院長との交流があり、同じプロジェクトを推進していましたので、打ち合わせを重ねなくとも意図が伝わっていたのですね。

2)ロゴに関して

今回のプロジェクトではロゴよりも先に診察券の構想がありました。
診察券を病院らしくないデザインにすることは簡単です。かっこいいメンバーズカードを作ればいい。ですが、それだけでは意味がありません。患者さん一人ひとりに対して価値のあるものにしたかった。そんな中で診察券に小さな窓≒ファインダを開けるというアイデアが浮かんできました。
最近はカメラのファインダを覗くなんて機会は少なくなりましたが、ファインダ越しに見る世界は、見慣れた風景でも幾分違って見えます。発見や出会いに満ち溢れている。
それはまさに西條クリニックが目指していることと重なるのではないか。そんな思いから、西條クリニックの診察券には窓≒ファインダを開けています。
それをそのままロゴにしました。
内装を手がけた会田さん、上原さんと最初の打ち合わせ時に同様に窓を重要視されていたことは、幸運な偶然でした。そこで建築のプランをうかがい、小屋型の存在を知りました。クリニックを訪れた人にとって小屋型の印象は強く残るでしょうから、サブエレメントとして使うことにしました。

内装と連携しているのは「幸運な偶然」だったのですね。ものをつくるもの同士、通じ合うものがあるのでしょうか。
また、診察券に穴を開けるという発想はなかなかできるものではありません。そして、実際にそれを現実化する際にもいろいろと苦労されていましたが、素材を絞り込み、硬い紙を使用した現在のかたちになりました。手触りも普通のプラスチックのカードより、どこか温かく感じられ、受付をする際に触れるものとしてもいい存在感があります。

vol.2へ続く。