さいくりブログ

西條クリニックができるまで vol.1

西條クリニックに来ていただいた方はご存知の事ではありますが、当院の内装は一風変わったものになっております。

担当してくださったのは、アイダアトリエの建築家、会田友朗さんと上原慎平さんです。竣工までの経緯や、建築のねらいについてお聞きしたことをご紹介してみようと思います。
まずは、建築のねらいを会田さんに説明してもらいました。

1)建築のねらい

最初に現場を見たときに、新宿御苑越しに見る東京のダイナミックな風景に驚きました。患者さんと一緒に景色を見ながら診察したい、という西條先生のお話にぴったりかと感じましたが、一方で、展望室のような空間では落ち着きもなく、メンタルクリニックにふさわしくありません。そこで、いろいろと検討をくりかえずうちに「小屋」と「窓」というキーワードが浮かびあがってきました。切妻屋根の形が天井にあらわれた小屋型の空間は、アットホームでこじんまりとしていて、クリニックに落ち着きをあたえます。その小屋型の空間を、多様な機能に対応して3列並行に配置しました。小屋どうしは部分的に重なりあっていて、小屋の中にいるはずなのに、同時に小屋の外から別の小屋を眺めているような、内外が反転した不思議な感覚がえられます。そんな小屋がいくつも集まってできたクリニックがあったら楽しげで、自分をいろいろな角度から見つめる場としてもふさわしいのではないかと考えました。そして、ひとたび穿たれたいくつかの窓から外をのぞけば、私たちが普通思い浮かべるような田舎の「小屋」の窓からは絶対に見ることのない、大都市の景色が一望できるのです。(会田)

…なるほど。確かに普通に部屋をつくると展望室のようになってしまいますね。控えめに見える風景もいいものです。
また、重なることで小屋の形も意識しやすくなっています。納得です。

vol.2へ続く